子宮内膜症と妊活 生理痛や経血の塊を、漢方ではどう考える?
今日もご訪問ありがとうございます。
不妊カウンセラーの石川珠美です。
「子宮内膜症があると言われました」
「生理痛がひどくて、毎月痛み止めを飲んでいます」
「経血にレバーのような塊が混じります」
妊活のご相談では、このようなお話を伺うことがよくあります。
なかには、卵巣にチョコレート嚢胞があったり、AMHが低いと言われたりして、不安を抱えていらっしゃる方もいます。
子宮内膜症は、卵巣や卵管の働き、骨盤内の環境などに影響し、妊娠しにくさにつながることがある病気です。
でも、私は子宮内膜症の方のご相談を受けるとき、検査結果とともに、毎月の生理がどのような状態なのかをとても大切にしています。
なぜなら、生理の状態には、その方の体を考えるためのヒントがたくさんあるからです。
子宮内膜症と「瘀血」の関係
漢方では、子宮内膜症の方の体質を考えるとき、「瘀血(おけつ)」に注目します。
瘀血とは、血の巡りが滞った状態を表す漢方の言葉です。
例えば、
- 生理痛がひどい
- 経血にレバーのような塊が混じる
- 下腹部の同じ場所が痛む
- 生理前から下腹部が重く感じる
こうした症状があるとき、漢方では瘀血が関係していないかを考えます。
もちろん、こうした症状だけで子宮内膜症や瘀血と決まるわけではありません。
ただ、私は特に生理痛の強さや経血の塊の状態を、漢方相談では確認しています。
血の巡りを、川の流れにたとえてみましょう
私は漢方相談のとき、よく川の流れにたとえて話します。
水が少なく、ちょろちょろと流れている川を想像してみてください。
水量が少ないと流れに勢いがなく、ところどころに淀みができやすくなりますよね。
でも、その川に水がたっぷり流れるようになったらどうでしょう。
水量が増えることで流れにも勢いが生まれ、押し流す力ができるので淀みができにくくなりますね。
漢方で考える血の巡りも、これと似たイメージです。
血の巡りが滞っている状態を「瘀血」と呼び、その滞りを取り除き、血の巡りを良くすることを「活血(かっけつ)」といいます。
でも、私は血の巡りを良くすることだけでは、十分ではないと考えています。
巡らせる血そのものを、たっぷりにすることも大切なのです。
血を巡らせるだけでなく、血の量を充実させる
漢方には「補血(ほけつ)」という考え方があります。
補血とは、血を補って、その量や働きを充実させるという意味です。
ですから、補血は単純に血液検査の数値や循環血液量を増やすという意味ではありません。
ただし、漢方でいう「血(けつ)」は、西洋医学でいう血液そのものとは少し違います。体を養い、潤す働きも含めた考え方です。
私は、この補血と活血の両方を大切にしています。
川の流れは、良くしようとしても水量が少なければ、なかなか勢いがつきません。
水がたっぷりあってこそ、流れにも勢いが生まれます。
血を補って充実させ、その血をしっかり巡らせる。
これは、子宮内膜症に限らず、妊活の漢方相談でも私が大切にしている考え方の一つです。
※川の流れは漢方の考え方を説明するためのたとえであり、子宮内膜症が血液の淀みによって起こるという意味ではありません。
子宮内膜は、できる時だけが大切なのではありません
妊活では、子宮内膜の厚さを気にされる方も多いと思います。
「内膜が薄いと言われました」
「なかなか厚くなりません」
そんなご相談もよくあります。
確かに、子宮内膜は受精卵が着床する場所ですから、妊娠を考えるうえで大切な組織です。
でも、私は子宮内膜が育つ時だけでなく、月経のときにきちんと剥がれ落ち、また新しく育っていくことにも目を向けています。
子宮内膜は、女性ホルモンの働きによって厚くなり、妊娠が成立しなければ、ホルモンの変化によって剥がれ落ちます。
そして、次の周期にはまた新しい内膜がつくられていきます。
この繰り返しが、毎月の月経周期です。
子宮内膜の細胞にも、血液を通じて酸素や栄養が届けられています。
育つときには育ち、剥がれ落ちるときには剥がれ落ちる。
この月経のリズムは、毎月の生理の状態を見つめなおす一つの視点になると思うのです。
生理痛や経血の塊の変化を大切にしています
漢方相談を続けていると、体調について、さまざまな変化をお聞きします。
「以前より生理痛が軽くなりました」
「痛み止めを飲む回数が減りました」
または、「痛み止めが効くようになりました」
「レバーのような塊が、以前より少なくなりました」
私は、こうした変化はとても大切にしています。
検査数値には表れない、毎月の体の変化だからです。
特に子宮内膜症の方は、長い間、強い生理痛を当たり前のこととして我慢されている場合が多いです。
痛み止めを飲まなければ仕事に行けない。
生理痛のせいで予定を変更しなければならなかった。
そんな状態が続いていたら、体だけでなく気持ちも疲れてしまいますよね。
月経の状態が変わり、以前より楽に過ごせるようになることは、大きな意味があると思います。
もちろん、生理痛が軽くなったり、経血の塊が減ったりしたからといって、子宮内膜症の病変や癒着が改善したとは限りません。
病気の状態は、婦人科で確認していく必要はあります。
それでも、毎月の月経や日々の体調の変化は、漢方相談の中で見逃したくない大切な情報です。
子宮内膜症がある方の妊活で大切なこと
子宮内膜症は、炎症や癒着、卵巣への影響などによって、妊娠しにくさにつながる場合があります。
特にチョコレート嚢胞がある場合には、卵巣の状態を慎重に確認する必要があります。
また、年齢やAMHの数値によっては、妊娠に向けた治療を急いだほうがよい場合もあります。
ですから、私は「漢方で体質を整えてから不妊治療を始めましょう」と、一律におすすめすることはありません。
必要な検査や治療を進めながら、その方の体調も一緒に考えていく。
そういう取り組み方が大切だと思っています。
そして、子宮内膜症に限らず、不妊の原因は一つとは限りません。
卵管の状態、排卵、精子の状態なども含めて考えていく必要があります。
毎月の生理は、体からの大切なサインです
生理痛があるのが当たり前。
経血に塊が混じるのも、いつものこと。
毎月のことだからこそ、慣れてしまっている方も少なくありません。
でも、一度、ご自身の生理を振り返ってみてください。
どこかで、自分の体と向き合うことは大切です。
私は漢方相談で、血を巡らせる「活血」と、血を補って充実させる「補血」の両方を大切にしています。
川にたっぷりの水が流れるように。
血を十分に補い、その巡りを整える。
そのような漢方の考え方を通して、毎月の生理や日々の体調を一緒に見つめていきたいと思っています。
まずはご自身の体が今どんな状態にあるのか、目を向けてみてくださいね。
とちの木薬局
薬剤師 国際中医専門員A級
石川珠美
※子宮内膜症が疑われる場合や、強い月経痛、慢性的な骨盤痛などがある場合には、婦人科で病気の状態を確認することも大切です。漢方では、上記のように月経の状態や体質を中医学の視点から捉え、一人ひとりに合った方法を考えていきます。
参考資料
※漢方の「瘀血」「活血」「補血」については、中医学の考え方に基づき解説しています。
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