「排卵しにくい」と言われたら。漢方では何を大切にする?
今日もご訪問ありがとうございます。
不妊カウンセラーの石川珠美です。
「卵がなかなか育たないんです」
「排卵誘発剤を飲んでいます」
「PCOSと言われました」
「プロラクチンが高いと言われています」
妊活の漢方相談では、このようなお話を伺うことがよくあります。
排卵の時期に病院へ通い、卵胞の大きさを確認してもらったのに、思うように育っていなかったり、排卵していなかったり。
そんなことが続くと、がっかりしますよね。
でも、ひとことで「排卵しにくい」といっても、その原因はさまざまです。
卵胞そのものがなかなか育たない方もいれば、卵胞は育っているのに排卵が難しい方もいます。
私は漢方相談でも、この違いを大切にしています。
生理周期や経血の量に変化はありませんか?
妊活の相談では、まず毎月の生理について詳しく伺います。
例えば、
- 以前より生理周期が短くなった
- 生理の量が極端に少ない
- 生理周期が長く、なかなか生理が来ない
- 基礎体温の低温期と高温期がはっきりしない
こうした変化があるときには、排卵がうまく起こっていない可能性も考えます。
また、仕事が忙しくて睡眠時間が短かったり、食事の時間が不規則になっていたりする方も少なくありません。
強いストレスや栄養不足などが、ホルモン分泌や排卵に影響することもあります。
ただし、生活が不規則だから必ず無排卵になるわけではありませんし、生理周期や基礎体温だけで無排卵と決めることもできません。
だから、以前と比べて生理がどう変わってきたのか、生活や体調も含めて聞くようにしています。
排卵しにくい原因は、一つではありません
排卵は卵巣だけで起こっているわけではありません。
脳の視床下部や下垂体からホルモンの指令が出され、それを受けて卵巣の中で卵胞が育ち、排卵へと進んでいきます。
この一連の働きのどこかに問題があると、排卵がうまく起こらなくなります。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の場合
「たのうほうせいらんそうしょうこうぐん」と読みます。
PCOSでは、卵巣に小さな卵胞がたくさん見られることがありますが、そのうちの一つが十分に成熟し、排卵するところまで進みにくい場合があります。
卵胞が見えているのに、なかなか排卵しない。
そんな状態です。
PCOSの方は、生理周期が長くなることもよくあります。
排卵誘発剤を使うことで排卵できる方もいますし、薬への反応や年齢、ほかの不妊原因によっては、体外受精などに治療方法を変えることもあります。
大切なのは、卵胞がたくさんあるということと、成熟した卵子が十分にあるということは同じではない、という点です。
検査結果を確認しながら、その方に合った方法を考える必要があります。
プロラクチンが高い場合
プロラクチンは、主に授乳に関係するホルモンです。
このホルモンが高くなると、排卵に必要なホルモンの働きが抑えられ、排卵しにくくなることがあります。
高プロラクチン血症では、原因に応じてカバサールなどの薬が使われることがあります。
薬によってホルモンの値が落ち着き、排卵が回復する方もいます。
もし、薬の副作用で体調がつらい場合には、別の薬に切り替えたりする方法もありますので、我慢せずに担当の先生に相談してくださいね。
漢方では、卵胞が育つ力をどう考えるのでしょうか?
中医学では、妊娠や出産、生殖に関わる働きを「腎(じん)」と深く結びつけて考えます。
ここでいう腎は、西洋医学の腎臓そのものではありません。
中医学では、生命の基礎となる力や生殖に関わる働きを、腎精(じんせい)という考え方で捉えています。
そして、この腎の働きを補うことを「補腎(ほじん)」といいます。
卵胞がなかなか育たない、排卵が遅れる、月経周期が乱れる。
そうした方の漢方相談では、私は補腎という考え方を大切にしています。
ただし、無排卵だから必ず腎虚というわけではありません。
その方の年齢や月経の状態、冷え、疲労なども含めて考えていきます。
補腎だけでなく、補血も大切にしています
もう一つ、私が重視しているのが「補血(ほけつ)」です。
補血とは、漢方でいう「血(けつ)」を補い、その量や働きを充実させるという考え方です。
血は、体を養い、潤す働きにも関係しています。
卵胞が育つためには、実際に卵巣へ酸素や栄養が届けられることも必要です。
私は漢方相談で、血をたっぷりにすること、そしてその血をしっかり巡らせることを大切にしています。
川の水量が少ないと、なかなか勢いよく流れませんよね。
水がたっぷりあることで、流れにも勢いが生まれます。
漢方でいう補血と血の巡りの関係も、私はよく、このようなイメージでお話しすることがあります。
もちろん、漢方の「血」は実際の血液量とまったく同じものではありません。
また、漢方によって卵胞の発育や排卵が必ず改善するという意味でもありません。
それでも、妊活中の体を中医学から考えるとき、補腎と補血は私にとって大切な視点です。
オイスターをおすすめすることもあります
私は、妊活中の栄養面も大切にしています。
卵胞が育つことも、ホルモンが働くことも、毎日体の中で行われています。
食事が不規則だったり、仕事が忙しくて疲れがたまっていたりする方も少なくありません。
そうした方には、漢方相談で体質に合わせた漢方薬とともに、オイスター製品をおすすめすることもあります。
牡蠣は栄養価の高い食品の一つです。亜鉛をはじめ、さまざまなミネラルや、ビタミン、アミノ酸などが含まれています。
ただし、メーカーによって含まれる成分や量は異なりますし、オイスターを摂れば排卵する、妊娠しやすくなるというわけではありません。
私は、補腎・補血という中医学の考え方と、日々の栄養状態の両方を大切にしています。
排卵誘発剤を使っている方にも、お伝えしたいこと
無排卵や排卵障害がある場合、クロミッドやレトロゾールなどの排卵誘発剤が使われることがあります。
薬を使うことで排卵できる方もいらっしゃいます。
一方で、思うように卵胞が育たなかったり、薬を変える必要があったりする方もいます。
また、年齢や卵巣の状態、ほかの不妊原因によっては、体外受精など次の治療を早めに考えたほうがよい場合もあります。
私は、漢方相談をしているからといって、漢方だけで長く様子を見ることがよいとは考えていません。
妊娠を希望している方にとって、時間は大切です。
検査でわかることを大切にしながら、漢方ではその方の体質や月経、日々の体調を考えていく。
補腎が必要なのか。
補血を重視するのか。
気や血の巡りについても考える必要があるのか。
同じ排卵障害でも、その方によって漢方の考え方は変わってきます。
「排卵しにくい」という結果だけでなく、その原因を知ること
「今月も卵が育ちませんでした」「排卵しなかったみたいです」
そう聞くと、また一か月が無駄になってしまったように感じるかもしれません。
でも、排卵しにくい原因がわかれば、そこから考えられる対策もあります。
卵胞が育たないのか。
卵胞は育っているのに排卵しないのか。
ホルモンの働きに問題があるのか。
それとも、体調や生活の変化が関係しているのか。
同じ「排卵しにくい」という状態でも、考えることは一つではありません。
私は漢方相談で、補腎と補血を大切にしています。
ただし、すべての方に同じ漢方をおすすめするわけではありません。
一人ひとり違うので、体の状態を見ながら、何が必要なのかを考えていくこと。
そして、長く続けることを目的にするのではなく、体がどのように変わっているのかを確認していくこと。
それが、妊活の漢方相談で私が大切にしていることです。
「排卵しにくい」と言われた方も、まずはご自身の体が今どんな状態なのか、知ることから始めてみてくださいね。
排卵について、よくあるご質問
Q.生理が毎月来ていても、排卵していないことはありますか?
はい、生理のような出血があっても、排卵していない場合があります。
特に、生理周期が以前より短くなったり、長くなったり、経血量が極端に少なくなったりした場合には、排卵の状態を確認することも大切です。
ただし、こうした変化があるからといって、必ず無排卵というわけではありません。
Q.PCOSでも自然に排卵することはありますか?
はい、PCOSの方でも自然に排卵することはあります。
毎月排卵する方もいれば、排卵までに時間がかかったり、排卵しない周期があったりする方もいます。
排卵誘発剤を使うことで排卵できる方もいますので、ご自身の卵巣やホルモンの状態を知ることが大切です。
とちの木薬局
薬剤師・国際中医専門員A級
石川珠美
参考資料
- 日本産科婦人科学会「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断基準(2024)」
PCOSの診断に関する日本の基準です。 - 日本産科婦人科学会「本邦における多嚢胞性卵巣症候群の治療指針(2025)」
排卵誘発など、PCOSの治療選択についてまとめられています。 - 米国生殖医学会(ASRM)「無月経の評価に関する委員会見解(2024)」
排卵に関わるホルモン、プロラクチン、甲状腺機能などについて解説されています。 - 米国国立衛生研究所(NIH)「亜鉛に関する専門家向け資料」
牡蠣に多く含まれる亜鉛の栄養学的な役割について解説されています。
※中医学の「補腎」「補血」「活血」については、中医学の理論に基づき、長年の漢方相談経験を交えて解説しています。
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