PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)だと妊娠しにくい?排卵しにくい理由と妊活の考え方
今日もご訪問ありがとうございます。
不妊カウンセラーの石川珠美です。
前回は、「排卵しない」ということについて、高プロラクチン血症を中心にお話ししました。
今回は、排卵障害の原因としてよく聞く、
「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」
についてお話ししたいと思います。
PCOSは、とても個人差が大きい
多嚢胞性卵巣症候群は、略してPCOSと呼ばれます。
PCOSでは、卵胞が育ってはいるものの、うまく排卵まで進まなかったり、排卵の間隔が長くなったりすることがあります。
通常は、いくつかの卵胞が育ち始め、その中から「主席卵胞」と呼ばれる卵胞が選ばれて大きくなり、排卵へと進んでいきます。
ところがPCOSでは、いくつもの卵胞が途中まで育った状態で止まり、排卵まで進みにくくなることがあります。
そのため、
「生理がなかなか来ない」
「生理周期が長い」
「排卵日がわかりにくい」
といったことが起こります。
ただし、PCOSといっても症状の出方は人によってかなり違います。
軽い排卵障害の方もいれば、何か月も排卵が起こらない方もいます。
PCOSはどうやって調べるの?
PCOSは、単純に「卵巣に卵胞がたくさんあるからPCOS」というわけではありません。
月経・排卵の状態やホルモンの状態、超音波検査など、いくつかの情報を組み合わせて判断します。
そのため、一般的な婦人科の検査だけでは、PCOSについて十分に確認されていない場合もあります。
気になることがある場合には、不妊治療を専門にしている医療機関で一度詳しく調べてもらうのも一つの方法です。
PCOSだと妊娠しにくいの?
ここは、PCOSと診断された方にぜひ知っておいてほしいところです。
PCOSは、「妊娠できない」という病気ではありません。
国際的なガイドラインでも、PCOSがあっても自然妊娠、あるいは治療によって妊娠できる方が多いことが示されています。
ただ、排卵が起こりにくいため、
「卵は育っているのに、排卵しない」
ということが妊娠へのハードルになります。
比較的軽い排卵障害であれば、排卵誘発剤などを使って排卵を起こし、タイミングを取ることで妊娠を目指すこともできます。
一方で、排卵誘発をしてもなかなか排卵しない場合や、ほかの不妊原因がある場合には、人工授精や体外受精など、次の治療を検討していくこともあります。
PCOSには、良い面もあります
ここは少し意外に感じるかもしれません。
PCOSの方は、排卵がうまくいかない一方で、卵巣の中に発育途中の卵胞が多くみられる方もいます。
そのため、体外受精などで卵巣を刺激すると、多くの卵子が採れる方もいます。
私が妊活の相談をしていると、
「ずっとうまくいかなかったけど、体外受精に進んだら、思っていたよりもスムーズに進んだ」
という方もいらっしゃいます。
もちろん、これはすべての方に当てはまるわけではありません。
PCOSの方は卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが高くなるため、体外受精では刺激方法や採卵方法を工夫することが大切です。
漢方ではどう考える?
では、漢方ではPCOSをどのように考えるのでしょうか?
PCOSだから、この漢方。
というように一つの処方が決まっているわけではありません。
私の妊活相談では、まずその方の体質や月経の状態、血流、冷え、体調などを見ていきます。
そのうえで、
「血を補って巡りを良くする」
という補血(ほけつ)をベースに考えます。
また、体質によっては、免疫や炎症などに着目した漢方を考える場合もありますし、代謝の状態を見ながら、体の働きをサポートすることを考える場合もあります。
PCOSだから全員同じ、ではありません。
「同じPCOSでも、どのレベルのPCOSなんだろう?」
その方が今どのような状態なのかを、しっかり見極めることが大切だと私は考えています。
赤ちゃんを早く望んでいるなら、検査だけでも専門病院へ
PCOSかもしれないと思っている方や、
「生理がなかなか来ない」
「排卵が確認できない」
「排卵誘発剤を使っても反応が悪い」
という方で、赤ちゃんを早く望んでいる場合には、早めに不妊治療を専門としている医療機関で調べてもらうことをおすすめします。
ここで大切なのは、
「体外受精をする覚悟を決めてから専門病院に行く」必要はない
ということです。
「まず自分の体の状態を詳しく調べてみたい」
という気持ちで受診して大丈夫です。
自分の排卵の状態や卵巣の状態を知ることで、今どの段階にいるのかが分かり、その後の選択肢も見えてきます。
PCOSは個人差が大きいからこそ、自分の状態を知ることから始めることが大切です。
次回は、排卵障害とはまた少し違う、
「受精しない」
という問題について、精子と卵子、それぞれの側から考えてみたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
※多嚢胞性卵巣症候群は、これまで一般に「PCOS」と呼ばれてきた病態です。
2026年5月には、国際的なガイドラインで新しい名称「PMOS(Polyendocrine Metabolic Ovarian Syndrome)」への変更が発表されました。
一方、日本では現在も「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」という名称が一般的に使われているため、このブログでは「PCOS」という表記を使用しています。
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